「みどり、自然、すまい」の話(4)

 コロナ前にはたくさんの外国人観光客が日本にもやってきました。その外国人観光客が日本で一番驚くのは電柱の多さだそうです。ロンドン、パリなどヨーロッパの多くの都市の街並みが美しいと思うのは無電柱化のせいもありでしょう。景観はもとより、地震大国の日本ですから、防災・安全面からも電柱の地下化は緊急課題です。

  あの 2011年の東日本大震災では電柱の倒壊や電線の垂れ下がりが問題となりました。その後、日本でも2016年に無電柱化の推進に関する法律が成立しましたが、記憶に新しいところでは、令和元年( 2019年)の房総半島台風で千葉県内に大規模な停電が発生するも、電線に引っかかった倒木のために復旧作業がかなり遅れました。東京23区の電柱地中化率は約8%、全国平均だと約2%だそうです(Wikipediaによる)から、東京に直下型地震が起こらないことをひたすら願うばかりです。

   実は、私の友人の外国人が日本のまちで驚いたのは電柱の数だけではなく電柱の立つ場所でした。彼女が驚いたのは、ガードレールで守られた歩道もないような狭い道に沿って立ち並ぶ電柱で、その脇をバスやトラックが、車や自転車が、そして歩行者たちが、まるでサーカスの曲芸のようにすり抜けていく光景でした。それから、停留所でバスを降りた人がそのまま動けずに狭い道路ぎわの商店と電柱の間でバスが通りすぎるのを待っている光景でした。私たちには日常的な光景が、見慣れていない人たちには脅威に映るのでしょう。

 今、コロナで通勤電車の「密」を避けるために自転車通勤に切り替えようと思っても、会社に行くまでの道を考えてあきらめてしまう人も大勢いるでしょう。致し方なく歩道を走る自転車も多々ありますが、これまた、歩行者にはとても危険なのです。

 とにもかくにも、日本の狭い路地や道路が危ないのです!身の危険を感じるのは地震などの災害時だけではありません。東日本大震災の配信映像を見て日本人の忍耐強さが外国人を驚かせたようですが、私たちは日々相当ストレスをためているに違いありません。