「みどり、自然、すまい」の話(3)

   皆さんご存じですか。私たちの地元大田区には区内のみどりの確保と整備を推進するための「グリーンプランおおた」という緑の基本計画があることを。しかも、区・区民・建築業者がチカラを合わせた「地域力」で「緑の街づくり」を進めようとしていることを。

 大田区は、このことを住民にも広く知ってもらいたいと「グリーンプランおおた」という分厚い冊子(平成28年3月発行)、「みどり大好き!大田区」というパンフレット(平成28年4月発行)を発行しています。

 実は、つい最近まで、私は大田区が「緑豊かで快適なまちづくり」で一生懸命に頑張っていることも、こうした広報活動も、まったく知りませんでした。皆さんはどうでしょうか。

 「みどりになぜそんなにこだわるの?」と思う人がいるかもしれません。それは、みどりには4つの「大事な機能」があるからーーーだから大田区は頑張っているんだと冊子やパンフレットに書いてありました。それら4つの機能とは:

 

 1)環境保全ーー暮らしを支えるみどり(みどりは都市に潤いと安らぎをもたらし、多くの生命を育み、都市や地球の環境を形成します。)

 2)レクリエーションーー楽しみをつくるみどり(健康増進のためのスポーツ・レジャーや余暇活動の場となります。)

 3)防災ーー安全・安心を提供するみどり(避難場所、避難経路となるなど、災害時の安全・安心を高めます。)

 4)景観形成ーーまちの魅力を演出するみどり(街の魅力を高め、来訪者の「おもてなし」にもつながります。)

 

 「火災を防ぐみどりのチカラ」については、以下のような実例が紹介されています。

 =水分を含んでいる樹木は耐火性に優れ、火の回りを食い止めるなど、火災の拡大を防ぐ力があります。阪神大震災では樹木などのみどりは街路や公園と一体となって、火災の延焼を止める効果をもたらした。=(社)日本都市計画学会「安全と再生の都市づくり」より

 

 防災上の安全確保はもちろんのこと 街で暮らす大人、そして子供たちにとっては、レクレーションの場となるみどりの広場も大事ですよね。でも、東京の街にはそういう空間がまだまだ少ないのです。

 みどりの多さについて、約50%の住民がほぼ満足していると大田区は言っていますが、残りの半分の人々は不満足なんですよ。それを忘れないでください。

 ちなみに、ネットで世界主要都市の一人当たりの緑地面積(2018年)を見ると、東京は、香港、シンガポール台北、上海、ソウルといったアジアの都市より少なく、世界主要都市では25番目です。

 参考までに、1位のヨハネスブルグ南アフリカ)の緑地面積は230.7㎡/人。2位の香港は105㎡/人、4位のシンガポールは66㎡/人、7位の台北は50㎡/人、11位のNYは29.3㎡/人、17位のソウルは23㎡/人、上海は19位で18㎡/人でした。

 今年東京都が示した改定都市計画地域マスタープランでの一人当たりの公園緑地目標は「おおよそ10㎡」でした!

 東京23区でみどりが一番多いのは練馬区。私の地元大田区は7番目に多いとなっていますが、実はその数値には羽田空港も含まれているのです。羽田空港の草地を除くと12番目ぐらいになることを大田区も認めています。

 とくに最近、私の住む大田区の鵜の木地区でも大きな屋敷跡に家やマンションが建ち、人口はどんどん増えているのですから、人口増に合わせて公園・緑地も増やしてほしいです。

 しかも、区内のみどりは量的にも、質的にもまだ十分とは言えないと区も認めているのですから。

 

 

「みどり、自然、すまい」の話(2)

  コロナがまだ収束していない昨年10月の中旬、あいにくの曇り空で肌寒い日でしたが、70人あまりの大田区立出雲小学校の3年生 が多摩川の河川敷での野外自然観察授業を楽しみました。付き添ったのは担任の先生、校長先生、父兄の方々たち。「多摩川とびはぜ倶楽部」のボランティアのメンバーも付き添いました。

 自動車も自転車も走っていないだだっ広い河川敷は子供たちの天国のよう。

 河川敷を虫取り網を振り回しながら子供たちは思いっきり駆け回り、トンボや蝶々を追いかけ、バッタやカマキリやコウロギを捕まえたり、小さなテントウムシや川から上がって歩いていた小さなカニなどにも出会えて大喜びでした。河川敷に大繁殖している外来種のアレチウリやオオオナモミの種の形や小さな刺は「自分は動けないから人や動物にくっついて子孫を増やすため」との説明にびっくりした子供たち。

 自然観察授業が終わり、「捕まえた昆虫をかごから出して逃がしてあげよう」と先生に言われ、かごの中の小さなバッタをそっと捕まえて逃がしてやるのが「怖い」と言って逃げる男の子も結構いました。アレチウリやオオオナモミの種の刺が服につくのを嫌がる子供たちもいましたが、いずれも、本物に触ったことがなかったので、怖かったのでしょう。

 大都会のコンクリートジャングルの中で育ち、バーチャルな世界に慣れ親しむ今の子供たち。そんな子供たちの将来が心配です。できれば、もっと自然と触れ合う機会を増やしてあげたいですね。なぜなら、子供たちはさまざまな原体験を通して多くを学び、たくましく育つ中で、きっと、自分とまわりの多様性を理解できる心優しい大人になっていくからです。

 無神経な大人たちが河川敷に捨てたプラスチックのごみを見つけ、持参したビニール袋に入れていた子供たちもいました。今回の野外授業で「自然に触れ、振り返って環境のことも考えさせたい」と言っていた担任の先生。

 私たちの国、私たちの街の中に子供たちが自由に遊びまわれるみどり豊かな広っぱをもっと増やしたいと思った一日でした。

 

 

 

「みどり、自然、すまい」の話(1)

  突然ですが、皆さんは自分たちの住む街の景観や自然環境を気する方ですか、あまり気にしない方ですか。

 今現在、コロナをはじめ誰もがさまざまな問題を抱えて日々暮らしていますが、私にとって今気になるのは環境問題です。自分一人ではとても解決できない大きな地球規模の問題ですが、それでも一人ひとりがちょっとだけこの地球を守ることに気配りができれば…と願っています。

 「そんな心のゆとりなんかない!」と思う人もいるかもしれません!。そこで、できる人ができることからやればいいと思って、私は「みどり、自然、すまい」という切り口でこのブログに書き続けますから、皆さん、興味のある話があったら、是非よんでくださいね。

 

 家の近くで最近起こった話ですが、「家の樋(とい)に枯れ葉が落ちるのが嫌」というある住民のクレームがあって、近所の黒松やソメイヨシノの大木が無残にも切られてしまったのです。ずっと昔からそこにあったりっぱな黒松や桜の木は、恐らく、私たちのおじいちゃんやおばあちゃん、あるいはもっと前の祖先の人たちの貧しくもつつましい日々の暮らしを上の方から眺めて、人々を見守ってくれていたのに、無残にも今は切り株だけ・・・。

 切られてしまった木々のそばを通るたびに心が痛みます。毎年、桜の花が咲けば春の訪れを感じ、桜吹雪に舞う花びらを見てちょっと切ない思いにかられ、そして新緑のみどりの季節を迎えていましたが、来年の春がきても、もうあの満開の花は見られません。一昔前の大きな木に囲まれた家々のたたずまいが大都会東京からどんどん消えていくことに危機感を感じているのは私一人でしょうか。

 木々のみどりや花は私たちの心を癒してくれます。それ以上に、私たちの周りに樹木が多ければ木陰ができ、それだけで都会がヒートアイランド化することも防げるのです。街に樹木があれば、コンクリートの照り返しも減り、人間の体温に近い高温が続く夏の日々での熱中症も減るかもしれません。

 また、CDの円周と同じぐらいの太さの木が2本あれば、1人の人間が一年間に生活して吐き出す二酸化炭素量(360Kg)を吸収してくれるそうです。木が多い分、空気がきれいになるのです。確か、岩手県のある町(名前を忘れました)には樹木が多く、おかげで日本一酸素のある町になっているとか。岩手県がコロナ感染者数が少なかったのはそのためなのでしょうか。

 お話したいことは山ほどあるのですけど、今回はこのくらいにしておきます。