「みどり、自然、すまい」の話(2)

  コロナがまだ収束していない昨年10月の中旬、あいにくの曇り空で肌寒い日でしたが、70人あまりの大田区立出雲小学校の3年生 が多摩川の河川敷での野外自然観察授業を楽しみました。付き添ったのは担任の先生、校長先生、父兄の方々たち。「多摩川とびはぜ倶楽部」のボランティアのメンバーも付き添いました。

 自動車も自転車も走っていないだだっ広い河川敷は子供たちの天国のよう。

 河川敷を虫取り網を振り回しながら子供たちは思いっきり駆け回り、トンボや蝶々を追いかけ、バッタやカマキリやコウロギを捕まえたり、小さなテントウムシや川から上がって歩いていた小さなカニなどにも出会えて大喜びでした。河川敷に大繁殖している外来種のアレチウリやオオオナモミの種の形や小さな刺は「自分は動けないから人や動物にくっついて子孫を増やすため」との説明にびっくりした子供たち。

 自然観察授業が終わり、「捕まえた昆虫をかごから出して逃がしてあげよう」と先生に言われ、かごの中の小さなバッタをそっと捕まえて逃がしてやるのが「怖い」と言って逃げる男の子も結構いました。アレチウリやオオオナモミの種の刺が服につくのを嫌がる子供たちもいましたが、いずれも、本物に触ったことがなかったので、怖かったのでしょう。

 大都会のコンクリートジャングルの中で育ち、バーチャルな世界に慣れ親しむ今の子供たち。そんな子供たちの将来が心配です。できれば、もっと自然と触れ合う機会を増やしてあげたいですね。なぜなら、子供たちはさまざまな原体験を通して多くを学び、たくましく育つ中で、きっと、自分とまわりの多様性を理解できる心優しい大人になっていくからです。

 無神経な大人たちが河川敷に捨てたプラスチックのごみを見つけ、持参したビニール袋に入れていた子供たちもいました。今回の野外授業で「自然に触れ、振り返って環境のことも考えさせたい」と言っていた担任の先生。

 私たちの国、私たちの街の中に子供たちが自由に遊びまわれるみどり豊かな広っぱをもっと増やしたいと思った一日でした。